即興ワークショップ~時間軸を行き来する~
2013/6/26(水)19~21時@小金井アートスポットシャトー2F
ゲスト 東野祥子さん(振付家・ダンサー)
参加者 15名程度
●内容
・ストレッチ 2人組で股関節・肩関節・背骨など入念に
体をならすエクササイズ
=
・小さいボールが身体の中をコロコロ転がるようなイメージで、各部位を動かしていく
左右の腕、肩、首、左右の脚、骨盤、トルソ、全身まんべんなく
・そのボールの質を変える
重くなったり、軽くなったり、早くなったり遅くなったり、滑らかに、或いはカクカク動いたり、ぱっぱっと切り替える
※普段動かないような仕方で、あまり行かない方向に行ってみて、思いがけない動きの質や感覚を発見するつもりで。特定の動きや癖に居着かないことがポイント。
動きの発展
=
・二人組で見合う
お互いに見合って、見ている人は動いている人の動きの特徴を指摘したり(特定の癖など)、見た感想を伝える。評価するというより、見たままを伝える感じで。
・自分の意図を裏切る
こう動こうと思ったら違う方向・スピード・質などを選ぶ
意識でどこか目標を定めている内に、もっと深いところの意識で別の動きをやらせる、という感じ
・感情を動きにする
嬉しい 悲しい 怒り など、それぞれの感情を感じたときの経験を思い出して、その感情を身体の中で動かしたり、その記憶の中の登場人物や登場する物になってみたりする。(動きの動機が出てくる場所を変える、ための練習?)
・追いかける
2人組の一人がリーダーになり、動きの質や方向を切り替えながら動く。もう一人はその人の動きに付いていく。ぱっと印象を掴んで動きの概要を真似する。慣れてきたら、自然にリーダーを入れ替えるようにする。
・全体を2グループに分けて、2人組で「追いかける」動きをやってみる
・クールダウン ストレッチ
→とにかくテンポ良く進んでいくのが印象的。色々説明する前にまずやってみて体で発見していくやり方。まず体を丁寧に地均しして、そこからイメージを次々と通して、どんな変化にも対応出来るようなバイパスを作るようなエクササイズ、イメージを取り入れる入り口を増やしたり動きの幅を広げたりする練習、という流れで進んでいきました。
●トーク
・神村からの感想
今回の副題を「時間軸を行き来する」ではなく、「作家として踊る」にすべきだったと思った。自分の体を利用してどういう時間やイメージを作り出すかという、「ダンサー」というより作家的な意識で動くためのワークショップだったように思う。
東野さんは身体を徹底的に道具・素材として扱っていて、身体ではなく意識のほうが主体。身体はどんなイメージも吸収してそれに応じて動く、可変なもので、意識が自由に動けるようにむしろ最初は体の色を消すようにする。(神村は逆に、身体そのものありきで動きを捉えようとするところがあるが)
即興ということが、その場/その状況に反応するだけでなく、それまで蓄積していたイメージや記憶をライブで編集する作業に似ている。
東野さんの例)おばあちゃんになる→おばあちゃんが砂漠に行く→食べ物がなくて倒れる→田植えする
東野さんの動き方や居方は、基本的にちょっと浮いてる感じがする。それはおそらく、容れ物とその中身(イメージと体)を常に分けておく、という態度。密接に関わるし限りなく近づくが、一体化はしない。
今回は、蓄積された記憶やイメージと現在の身体で感じられることをどう結びつけ、編集・改編するかというところまではとても行かずに、入口の部分(まず身体を均し、そこにイメージを植え付け、それを自由に変換する)しかたどり着けなかったが、作家として自分の身体を扱うという態度を経験できたのが良かった。